町指定文化財 宝篋印塔（ほうきょういんとう）

光泉寺境内には数本の宝開印塔があります。

学保19年（1734年）の甲賀大五月7日に、中之糸町の二宮治石衛門と草津山の本重右衛門によって建てられたものが最も古いです。
塔身の正面には「宝鉄印記尼経」、台石には「乃至法界平等利益」と刻まれています。
他にも宝際、安水、寛政時代の塔があり、どれも町の文化財に指定されています。
経文には「この塔に一香一華を供えて礼拝供養すれば、八十億の生死重罪が一時に消滅し、生きている間は災厄から免れ、死後は必ず極楽に生まれ変わる」と功徳が説かれています。
宝篋印塔は宝印陀羅尼経を納めておくための塔であり、先祖供養と現世の利益を願ったものと考えられています。その高さは316cmです。

光泉寺境内の釈迦堂前に立つ塔は、寛政7年（1795年）に建立されました。その後、泉寺の37世である賢祐代（昭和15年8月）によって、紀元2600年記念事業として塔の一部が修復されました。塔の正面、かつての右側には「御殿室寿院正値正見龍」という文字が刻まれていますが、誰によって献納されたものかは不明です。しかし、塔身の四面に刻まれた陀羅尼経は、一字一句明確に読み取ることができます。

さて、宝篋印塔とは何でしょうか？

「宝篋印塔」は、宝篋印陀羅尼（ほうきょういんだらに）という呪文を納めた塔を指します。
この塔は日本では石塔婆の形式で、方形の石を基壇、基礎、塔身、笠、相輪と積み上げ、笠の四隅に飾りの突起があるものを指します。
元々は宝篋印陀羅尼の経文を納めるために建てられましたが、後には供養塔や墓碑としても用いられました123。この塔は、罪障を消滅し、苦を免れ、長寿を得ると信じられていました。
宝篋印陀羅尼は、一切如来の心内にある秘密の全身舎利を念じこめた呪文であり、この塔を礼拝することでその効果が得られるとされています。
中国でも同様の信仰があり、日本でも木製の小宝篋印塔や石造の宝篋印塔が作成されました。

この塔は、日本の歴史や宗教文化に深く根付いており、多くの人々にとって特別な意味を持つものとなっています。

起源:
- 宝篋印塔の起源は、中国の呉越王銭弘俶が延命を願って、諸国に配った8万4千基の塔（金塗塔・銭弘俶塔）にさかのぼります。これは、インドのアショーカ王（阿育王）が釈迦の入滅後立てられた8本の舎利塔のうち7本から仏舎利を取り出して、新たに造った8万4千基の小塔（阿育王塔）に分納し世界中に分置したという故事に由来しています。
- 日本にも請来され、現在国内に10基ほど存在しています。
構造と特徴:
- 宝篋印塔は、石造の遺品が多く、石山寺などで見られます。
- 基礎石の側面に美しい格狭間を刻み、塔身四方には月輪内に胎蔵界四仏の種子を刻むことがあります。
- 塔身は正方形平面で、段形の屋根をのせ、四隅に突起した飾りをつけます。
- 宝篋印塔は、宝篋印陀羅尼（宝篋印心咒経）を納めた宝塔であり、罪障消滅や苦から免れる効果があると信じられています。
日本の宝篋印塔:
- 日本では鎌倉期に石造の宝篋印塔がさかんに作られ、のち供養塔や墓碑塔として用いられました。
- 銭弘俶塔を模して作られたものが多く、関東形式と関西形式があります。
- 関東形式は関東地方に多く分布し、関西形式は国内に広く分布しています。
宝篋印塔の意義:
- 宝篋印陀羅尼を納めた経塔とされ、礼拝することで罪障が消滅し、苦を免れ、長寿を得ると信仰されています。